虚空に吐く自慢

GM [2014/01/12 01:01]

 
ヴェンが穴の周りをよく観察したところ、動物の毛と思われるものは特に見受けられなかった。
穴の中から聞こえてくるようなものも、マークと同じように、ない。


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その血はこめかみから顎へと流れている。
トーコの顔にかかる血だ。
頭から生える蛇の一匹が潰れている。
しかしそれを補わんばかりに、頭部の蛇はいっそうくねっていた。


ガラフがトーコの顔の傷を更に観察する。
火傷の痕はかなり古いらしく、今は頬の色と同化している。10年前以上とみられる。
唇の切り傷はそれより新しいといえども数年前の物らしく、赤色が消えかかった痣になっている。
細い筋の傷跡からはどうやら鋭いもの――――武器など――――を受けたようだと推測される。


>「まず、最初に。君が生き残るには、知力を尽くして
> 俺達を上手く騙くらかさなきゃいけないと思う。」


トーコは目を半分開け、それと同じくらい口は半開きでマークの言葉を聞くように、その顔を見ようと務めているような様子だった。だが瀕死における意識はたどたどしい。


>「だから君は俺達を利用して、最後に勝つ事を目指して
> これからの会話を行ってくれればいい。」


「あ・・・ ああ・・・」


その声も出すのがやっとのようだった。


>「まぁ、素直に敗北を認めて殺せって言うならそれは仕方ないけどね。」


「あー・・・」


それからしばしの時間が経ち、寝そべりながらも呼吸が整ってくる。
思考は生を捕らえたようで段々と生きる自信が蘇ってくるのが、冒険者の三人はわかった。


>「まず。君は俺達の格好から戦える奴だと見て近づいてきたろ?」


「戦えるう・・・? ああ、うん、・・・。
 そうだねえ。
 "戦える"やつはさあ、ターゲットなんだよぉ。
 だって、入ってきてくれるだろう・・・?
 しかもここいらのじゃない・・・。
 
 前もそうだったんだから。半月前だね」


そう言ってからマークの言葉の間、トーコはまた目を閉じる。
息がすやすやと整っていくが、それは安寧のためだ。


「ああ・・・?」


「前もそうだったよお・・・。
 あたいの部屋にはさ、あるんだ・・・。
 あるんだ、よ。
 すごいんだから・・・。
 クックック・・・ ゲホッ」


トーコの腹部が笑いをこみ上げ、うねる。


「前のはすごかったよお。
 あたいの手柄だよお。
 とっても 楽しく なったんだ。
 
 あ あんた 魔術師?
 ・・・へええ いるよ。
 下に いるよ。 ちっさい 杖のない 魔術師。
 たくましい男に、お綺麗な半妖精だって」


声がにわか強まる。
それほどに自慢したいのかもしれない。


「もうすっかり 夢のお人形さ。
 みーんな。
 夢の お人形さ。
 あたいの 手柄」


マークとガラフはミード湖周辺の遺跡についての心当たりがないか記憶を遡る。
それは、ある。


いや、あるといえば語弊かもしれないが引っかかる話があった。
古代魔法王国時代の魔法生物の失敗物が、ミード湖を上流とする川の近くで発見されたこと。


>「ま、要は。ここでサクッと殺されるか。
> 俺達を案内しつつ、逆襲の機を伺うか。
> どっちを選ぶかって話だよ。・・・どっちがいい?」

>「どちらが得か、よく考えてから賢明な判断を下す事じゃな。
> 貴様の返答と誠意の見せ方によっては、
> 《癒し》の奇跡を行使してやらんでもない...
> 繰り返すが、ようく考えてから返事をする事じゃ」


「ハハッ まったく善人のようでさあ・・・。
 
 あたいは・・・ちょっと、疲れた。
 もちろん死にたくないさあ。でも今・・・動きたくもないよね。
 どうか時間をおくれよ。
 あたいはここでじっとしている。どうかそっとしといておくれ。
 あたい、今・・・しゃべるのもしんどいでさあ・・・」


と、メデューサは話をした。


 
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GMより:


てな感じ!
悪根さんの質問の意図は良くわかりますが、あえてちょいとトーコ視点での言葉です。


魔法生物の失敗物→アレです。ここで判定を振って成功するか、既知の方はわかります。ブロブです。


>みなさんへ

どうしましょうか!
もちろん、ミードへ行ったりするのも可ですよ。
決断のシーンかもしれませんね!


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