手紙の冒険記『狩人たち』

エグランチエ [2012/06/17 22:40]


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ただいま、ルイネ。
僕が居ない間、元気にしてたかい?

流れるハザード河の先に僕を待っていた物が何だと思う?
そこには壮大な冒険と世界が広がっていたんだ。

さあ、今から僕が体験した出来事を語ろうか。
冒険に出る準備は出来たかい?



 僕を乗せた瓶の船はどんどんどんどんと流されてハザード河を下っていった。沈んだり浮いたり波に飲まれたりしながら、君達の村を抜けて森を抜けて草原を抜けてまた深い森に入っていった。

 そんな時だ、河の底から大きな影が僕に迫った、大きな魚だ。僕を小魚か小鳥と間違えたのだろう、きっとあの大きな口で食べてしまおうとしているに違いない。この河は魚のテリトリーだ、この瓶の船の旋回速度じゃとても奴から逃げ切れない。哀れ、僕の船はその魚に食べられてしまったんだ。

 ああ、無念なり、僕の冒険はここで終わってしまうのか。

 だがしかし不思議な事が起こった。魚に食べられたはずの僕の船はどうなったのか。なんと空を飛んでいたのだ、何が起こったというのだ。僕の船はまだ魚の口に挟まれたままだった。そう、この魚はより大きな鳥に捕えられていたんだ。

 その鳥は近くの河辺の岩に僕と魚を下ろした。巣まで運ぶのにはこの魚は重過ぎたのかもしれない。そして魚の口に挟まれた僕には目もくれずに未だピチピチ跳ねる魚のお腹を啄み始めた。

 そいつが魚を食べるのに夢中になっている隙に僕は逃げ出そうとしたんだ、そうしたらその鳥は鋭い眼差しをこちらに向けてきた。気付かれた!?いや、違う、僕じゃない、もっと奥を見ている、森の中だ。それからキョロキョロと辺りを見渡すと食べ掛けの魚を残して逃げるように飛び去ってしまった。代わりに森の木々を揺らして其処に現れたのは鳥よりももっともっと大きな熊だった。熊は僕を咥える魚を咥えると森の中を走り出した。
 
 木漏れ日が降り注ぎ其処彼処で鳥が歌う森林を進んで行く、もうずいぶんと深くまで入った。僕は何処に連れて行かれてしまうのだろうか、子供の待つ洞穴にでも向かっているのだろうか。いつしか日の漏れる木の葉の天井が途切れ陽光の直接降り注ぐ樹海の孤島のようなお花畑に辿り着いた。流石の熊も疲れたのだろうか、その花畑の隅に流れる湧き水の畔に腰掛けたんだ。束の間の平和な時間が過ぎる、その時間が終わりを告げたのはこの日差しが小さな雲に遮られた時だ。

 驚いたんだ、それは突然と訪れた。一つの影が僕を咥える魚と熊を覆い隠したんだ。そう、雲だと思っていた、違かった。その影はまるで雷のような雄叫びと共に瞬く間に熊の腕程もある鉤爪で熊を仕留めると同じく巨大なクチバシで僕を咥えたんだ。そしてその巨大な足で熊を掴むと再び空へと舞い上がった。巨大な獅子の体と鷲の顔と翼を持つ魔獣、グリフォン、たしかそんな名前の怪物だ。恐らくこの日差しに晒され光を反射した僕の瓶の船の輝きを宝石か何かと間違えたのだろう、奴は怪物のくせに貴婦人の様に宝石が大好きなんだ、まったく代わった怪物だ。そのまま僕はさらに遠くの岩山に連れ去られる事になった。この冒険はどうなってしまうのか。こんな時だが眼下に広がる世界と来たらどうだ、あそこはオランか、あれはエレミアか、あれがレックスか。こんな状況でも広がる世界に心を奪われてしまうのは冒険家として仕方が無いことなんだ。

 それからしばらくして僕は岩山の頂辺りの崖にあるグリフォンの巣に横たわっていた、目の前の金銀財宝と共に。この宝の山を君に見せて上げたいよ、すんごいんだ。グリフォンは先程の熊の肉に夢中になっている。さて、どう逃げ出そうか、気付かれればまたあのクチバシが待っている、慎重に動かねば。だが僕みたいな冒険家にはどんな時にでもチャンスは訪れるものなんだ、この巣から山肌へと続く細い岩の裂け目の影からこの財宝を狙う冒険者達が訪れたんだ。

 二人組の冒険者は片方は剣と盾、もう片方が大きな両手剣を持っている。彼らは食事に夢中のグリフォンに背後から静かに近寄ると一斉に攻撃を仕掛けた。轟く雷のような鳴き声、だがグリフォンの羽毛はそこらの鳥とは訳が違う、その羽毛は鋼鉄の鎧の様に堅い。彼らの攻撃を跳ね除けて、逆にその巨大な爪がいとも容易く冒険者達の鎧を引きちぎる。まるで勝負にならなかった、冒険者達は一目散に元来た岩の裂け目に逃げ込んだ。もちろん食事を邪魔されたグリフォンは怒っている、彼らを逃がすような真似はしない。

 だけど僕には見えたんだ、その時の冒険者達の表情が。その目の輝きは臆病風に吹かれた者のそれではなかった。そう、彼等は罠を仕掛けていた、岩の裂け目を抜けた先、其処には二人の冒険者の仲間が待ち構えていた、その二人の手には巨大な石弓が握られている。逃げ出した冒険者達を追い狭い岩の裂け目に入り込んだグリフォンはその巨躯と翼が邪魔をして思うように動くことが出来ない。そこに二本の太矢が走りその巨躯へと深々と突き刺さる。雷のような鳴き声が轟く、逃げ出した冒険者達は振り返り再び剣を構えた、形勢逆転だ、戦いの流れが変わった。

 それから僕はその勇敢な冒険者達に連れられてグリフォンの巣を脱出する事に成功したんだ、とんだスペクタクルだ。そしてその冒険者達に見送られて僕は再び君の元へハザード河を瓶の船で出発したと言うわけさ。



どうだい、すんごい冒険だろう。
君にも見せて上げたい物ばかりだ。

君の行きたい所は何処だい?
手紙の僕が何処でも代わりに行ってきてあげるよ。

そうだ、瓶に入っている金貨はただの金貨じゃない。
グリフォンの巣からのルイネへのお土産だよ。


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――――っと、こんな物かしら?
ふふっ、どう?題して『手紙の冒険記』よ。

それにしても可愛らしい手紙だこと。
自分の代わりに手紙に冒険をさせようだなんて。

さてと、手紙を同じ瓶にしまって一枚金貨を入れてと。
明日ハザードの河に流しに行きましょう。


差し出し人の元にキチンと届けるのよ。
頑張るのよ、手紙のあなたは勇敢な冒険者なのですから。

そんな願いを込めて手紙と瓶の船に口付けをして、
もう夜更けだもの、今日はゆっくりと寝る事にしました。


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いきなり長文すいませんっ!よろしくお願いします!
流石に長いので新しい羊皮紙を使った事にします^^
そしてしょうさんのエグ描写が僕以上にエグっぽいです(笑)

■行動
お返事はルイネ君の表現そのままにお手紙その物が冒険したような。
そんな文章を書いてハザード河上流から流します。
そして50ガメルと羊皮紙を一枚消費します、エゴロジー!

■アイテム
羊皮紙10枚購入
→そのうち一枚を消費します。
ガメル
3525→3465