灰色を包む肌色

エグランチエ [2012/06/20 01:35]



「坊ちゃん、ルイネ坊ちゃん。」

こんこん。

ルイネの部屋の戸を叩く音。
手紙さんを送り出して、ルイネはそれを隠すように振り向いた。

「あらまあ、何をして遊んでいたのですか?」

入ってきたのはメリンダ。
優しいおばさん、ルイネのママのような人。
何時もの様に右手の指先を握ってルイネにお辞儀をした。

ルイネはメリンダが好き。
いつも暖かくて、いつもニコニコと笑ってるから。

メリンダは不思議な力を持っている。
ルイネがどんなウソを付いてもすぐに見抜いてしまう。

でも今回だけはどうしても隠したかったんだ。
手紙さんがルイネの元にもう帰って来なくなるような気がしたから。

「なんでもないよ。」

そう答えても、メリンダの顔はニコニコしてる。
まるでルイネの事を一部始終見ていたかのように頷いてこう言ったんだ。

「あらあら、そうですか。じゃあ、内緒にしないといけませんね。」

ほら、もうバレてしまっている。
きっとメリンダは魔法使いかなにかに違いない。

「お坊ちゃま、そろそろあそこに行きませ―――。」

「いきたくないっ。」

いつもニコニコのメリンダもこの時だけは悲しい顔になるんだ。
だからこの時間がルイネは嫌い、でもあそこに行きたくないんだ。

修道院、古い石造りの建物で。
真っ黒な石像が入り口に飾られているんだ。
その真っ黒な石像をみんなはまーふぁさまと呼んでいたよ。

ルイネは石像が嫌い、怖いんだ。

中のみんなといえば幽霊のように真っ白な服を着てだんまりと歩いてる。
大きな建物の中をその人たちの足音がただ響いているんだ。

メリンダはルイネをそこに連れて行って、
いつも怖い顔のおじさんの難しい話を聞きに行く。

そしてそこに行くとメリンダはまた悲しそうな顔をする。
それから無理な笑顔をルイネに作るんだ、その笑顔だけ好きになれない。

でもそうも言っていられない。
メリンダを困らせたくなかったんだ。

「わかったよ、メリンダ。」

しぶしぶと外装に着替えようとしたら、僕は転んだ。
何にも躓いたわけじゃないよ、足が動かなくなったんだ。

「お坊ちゃまっ!」

僕の方が吃驚する位の声を出してメリンダがルイネを起こした。
メリンダ、お願いだから、ルイネにそんな顔をしないで。

手がまた震えた。指先がむず痒い。
灰色の時間がルイネに迫る。

修道院の怖い顔のおじさんはルイネは『石皮病』だと言っていた。

手紙さん、僕の約束守ってくれるかな。
僕は約束を守れるのかな―――。


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食玩のラムネの様な出番だった最初の日記に続いて、
次の日記は出番が無いという我がPCエグランチエ。

二連投します、エグランチエサイドの日記も書きます!
待ち合わせとか、どうするんだエグランチエ!(笑)

そしてルイネ君の設定を勝手に作ってしまいました。
大丈夫でしょうか。もし拙い感じでしたらすぐにでも修正いたしますーっ><


※真っ黒な石像というのは元は綺麗な象が古ぼけて日焼けしたものです。