『木』

タリカ [2012/06/22 16:54]

「木なんてどれも一緒なのに、ずいぶん難しい名前を付けるのね。
 でも流石はタリカですわ、その場所を私に教えて頂けるかし――」

「――エグランチエ様。」

「その手紙から僅かですがただならぬ精霊の気配を感じます。
 気のせいだといいのですけれど、くれぐれもお気をつけて。」

「ただならぬ、精霊?」

「ええ、まるで狂気を帯びたノームのような―――。」

「手紙の差出人は、狂ったノームに襲われでもしたのでしょうか。
・・・いや、文章を読むに、それはなさそうですね。
だとしたら、差出人に何らかの原因で狂ったノームの力が宿っているのか、
もしくは・・・・差出人自体がノームとか。」

「それはなかなかおもしろい意見ですね」

ノームからの手紙。
ノームならばそれなはんと素敵なものだろうか。
もちろん、正常なノームだったのならば、の話だが。
狂気を帯びているともなれば人間だってぞっとしない。

タリカはアレルに頷き、そしてエグランチエに振り返る。


「――エグランチエ様」

 先ほどより鋭い声だ。

「『木なんてどれも一緒なのに』とは聞き捨てなりませんね。
 人間やドワーフ、エルフが居るように木々にも様々な種類があります。
 葉が尖っているもの、丸いものがあるのは知っていらっしゃいますか?
 そして一つ人間をとっても様々な人がいるように、同じ種類の木でも色々な木がいるんです。
 葉の色だって似ているようでそれぞれ違うんです。
 いいですか?」

 ぶつぶつ。
 ぶつぶつ。

「あ、あのタリカ...?」

 エグランチエはたじろぐが構わずタリカの説教が続く。

「そもそも、エグランチエ様は学院では森については習わないのでしょうか?
 それなりの知識を持った賢者だというのに、まったく」

 ぶつぶつ。
 ぶつぶつ。

「あ、あの・・・ごめんなさい」

 ああ、哀れな勇者エグランチエはしょんぼりしてしまった!


「まあまあ、タリカさん」

二人の様子を面白そうに眺めていたアレルが助け舟を出す。
二人のこんなやりとりは珍しい。
なかなかに面白いものだったがそろそろ話を進めたい頃合いだ。

「ところで...」

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 がるふぉ@タリカ:

  木について小一時間問い詰めます(笑)
  アンソニーについてはうまい返しが思いつかなかったので、ひとまずその前で止めておきました!