緑色の朝日。

GM [2012/06/26 01:24]

「もう、どうしろっていうのよ...」

たらい回し。
こういう現象は大なり小なり、そこかしこに存在する。

今日もファリス神殿でイシュタルは、あの羊皮紙を握る。
様々な人に握られ、またイシュタルも何度も目を通し、皺だらけで柔らなくなった紙。

もうこの孤独な戦いにも疲れてきてしまった。



神殿の、中庭を囲むように面するこの長い廊下は、人が憩いに使う場所でもあった。
廊下の石材と同じ、白く滑らかに削られたベンチが所々にポツンと置かれ、
広い神殿を歩き疲れた時に座ることもできたし、同時にこの庭を楽しむこともできた。

昨日、雨が降った。

だから今朝のこの中庭は濡れていて、緑の匂いでむせ返るようだった。
朝の早いとも言えるこの時間、廊下に人は少ない。
イシュタルは冷えた石のベンチに腰を下ろす。

そして手にある紙を開く。

何度見ただろう。
もう見飽きたかもしれない。
この字、この文。

「ファリス様」

イシュタルは己が仕える神の名をつぶやく。

―――どうすれば、いいですか。

その時、背中から声がした。

「カミが疲れてるねえ」

この声。振り向けば、涼し気な水色の瞳。

「まーだ悩んでるの」

「アウラダ」

中庭に立つこの男は一体何をやっていたのか。

「アリスの髪が疲れてる」

ベンチの上に乗った髪を、アウラダが掬う。

「はい。これは俺が貰うね」

そう言ってイシュタルの肩越しから、アウラダは手紙をひょいと取り上げた。



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GMより:

手紙ぽいしました。
これは乙女ゲールートで・・・!!!

きっとイシュタルのために人知れず本物の「アリス」を探してくれるんです。アウラダは。