神殿にて

GM [2012/06/17 03:09]
「アリス。ほら、またお残しなんかして」

ファリス神殿で賄われた、イシュタルの昼食の皿を見て、
同僚の女性神官が顔をしかめる。

皿にはイシュタルが苦手とする、塩っぱくて酸味の強いきゅうりのピクルスが残っている。

「嫌いなだけで、食べられないわけじゃないでしょう」

同僚はそれだけ言い、自分の皿を下げにこの場を去った。
これ以上言っても埒があかないと思ったのだろう。

イシュタルの白い皿にポツンと、深緑色が転がる。

他人からあれこれ言われるのは、イシュタルの見た目が幼いせいでもある。
外野からの余計なお世話は、彼女にとって宿命といっていいだろう。

「あの・・・。あんた・・・
 "アリス"さん ですか?」

食堂の長テーブルの隅に座っているイシュタルに声をかける人物は、まだ10にも満たない少年だった。
神殿に仕える風ではなく、一般礼拝の保護者と一緒にやってきたということが想像できる。

知らない人に声をかけるというのに緊張しているのか、ぶっきらぼうな態度だ。

「これ、そこに落ちてたんで」

抑揚ないセリフで、四角にたたんだ羊皮紙を突き出す。
そこ、とは恐らく食堂の入り口付近だろう。

イシュタルが受け取ると、少年はさっさと踵を返した。


たたまれた羊皮紙の表面には、

  アリス様へ

とだけ、たどたどしく書かれている。

アリスという名は、この神殿内にどれだけいるかわからない。
それだけ一般的で、特定するのは難しい。

だからイシュタルは、羊皮紙を開いた。


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アリス様へ

ようま を退治してくれて、ありがとう。

新しい家ぞくから、今、字を習っています。

ど力すること、忘れません。

いっぱいど力して、のこった友だちのケリーと、バルと、また、村にもどって、
元どおりみたいに、前みたいに、くらそうって話ししてます。

でもね、ケリーとこのまえ けんかしちゃった。

アリス様は、友だちと仲なおりするとき、どうやってしてますか?

ケリーがね、悪いんだよ。
きゅうりを食べないで、のこすんだもん!
きゅうりはきらいだっ、て、すてるの!もったいない。

私は、だから、
ケリーがきゅうりをキライなら、あたしもケリーがキライ!
っていっちゃったの。

それから、なんだか ギクシャクしているんだ。

アリス様は、こういう時、どうしますか?

おしえてください。

                    ニコルより

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その裏面には、住所が記されていた。



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GMより:
イシュタルの場合はこちら!

嫌いな食べ物で「味の濃いもの」とありましたので、きゅうりのピクルスとしましたが
大丈夫でしたでしょうか・・・!><

手紙の差出人は、
妖魔に村を襲われて孤児になり、別の村に引き取られていった女の子
です。多分、ファリス神官のアリスさんが妖魔撲殺してニコルたちを救ったんでしょうね。

この手紙、持ち帰ってもいいですし、神殿の誰かに渡してもいいですよ!

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