正義と欺瞞の境界線

イシュタル [2012/08/04 09:52]

全てを話そうと決意し訪ねた部屋は無人だった、が運が良かったのかアイーシャには聖堂で会う事ができた
私にとっては目上の人物、彼女にとっては平の一神官に過ぎない私、お互い接点などあろうはずもない
会話どころか滅多に会う事すらない私に声をかけられ彼女はやや驚いた様子だったが
私が話す内容を聞くと彼女は手早く話の内容を理解してくれた

「罰せられるべきは彼の心ではなく、彼をそのような行動に走らせるに至った私です」

アイーシャと話す際、何度となく繰り返した言葉...アウラダの行動は確かに許されるべきではないが
彼をその行為に至らせたのは私なのだと、私は私を罰するかのようにアイーシャに訴えた
それが功を奏したのかどうかは定かではない、だがアイーシャはアウラダにあまりキツい罰を与えないことを約束してくれた
無論完全に罪に問わないと言うわけではない、アウラダのこれまでの素行や今回被害が広範囲に及んだことを鑑み
罰は与えなければならない、という結論に変わりはないが...少なくとも彼、アウラダが神殿を追放されるようなことはないだろう
私はアイーシャの深い心に感謝した、まぁ私も罰せらなかったわけではない
一週間の間食堂で出されるピクルスに対し一片たりとも愚痴をこぼさず綺麗に食べることを課せられてしまった
一般人から見ればたいしたことは無いが、私にとっては死刑にも等しい罰かもしれない...あの緑の悪魔をたべなければならないとは...
こんなんだったらアウラダなど庇うのではなかった、という考えも一瞬頭をよぎったが後の祭りである

ちなみにアイーシャとの会話中、私が必死になってアウラダを庇う様を見て彼女は

『そこまで必死になるなんて、もしかしてアウラダに好意でも抱いているのかしら?』

と言う言葉に対しては

「天地神明に誓ってそれだけはないと断言します」

と答えておいた、あくまでも私が原因で私以外の人間が厳罰に処されるのは我慢がならないだけである
私はアイーシャとの会話を終えると時刻がちょうど昼時だった事もあり...アイーシャから課せられた罰を早速こなす為に食堂へ向かう
アイーシャの言葉を信じ、アウラダに厳罰が課せられないことを願いながら.........でも食べたくないなぁ.........

-後日談?-

アイーシャとの面談からしばらくの時間が過ぎ、アウラダへの正式な罰が下された
今回の件における被害者への謝罪、必要最低限の賠償、そして数日間の謹慎処分であった
あれだけの騒ぎに加え普段のアウラダの素行から言えば比較的軽い処分と言えるものだろう
私はそんな処分を受けたアウラダの元を訪れた、手にはピクルスの乗った皿を持って

「今回の件では迷惑をかけたわね、まぁ遅かれ早かれ貴方は普段の行いから罰せられてたと思うのだけれど
 今回は私が貴方を利用したようなものだし、そのことに関しては謝っておくわ」

謹慎中のアウラダの部屋に入るなり(ちなみにノックはしていない)近くにあった机の上にピクルスが乗った皿を置きつつ私はそう述べた
彼は寝台に腰掛けながら私の来訪を驚いていたような表情だったが、すぐにいつもの調子のいい表情に戻った

「結局アリスは見つからずじまい、今となってはこの神殿に私以外のアリスがいるのかすら疑わしいわ」

皿の上のピクルスを一枚取って口に放り込む、相変らず不味いのは確かだが毎日連続して食べれば以外に慣れるものである
もっとも罰の期間が過ぎたら二度と食べたくないものだが...私はしかめっ面をしながらアウラダに問うた

「何故貴方はあんな事をしたのかしら、それを問うても貴方ははぐらかすだけなんでしょうね、面白そうだったから、と
 それが案外本音なのかもしれないけれど、別の理由があるのなら...」

そこまで言って私は言葉を止め、二度三度を頭を振って笑顔を作り口を再度開いた

「いえ、やめておきましょう、人には言えない事の一つや二つあるものね、聞くのは野暮ってもんだわ
 アウラダ、謹慎が解けたら飲みにでも行きましょう、その時は...気分次第で奢ってあげるわ」

そう言って私はアウラダの胸の辺り(ホントは頭を叩きたかったが届かなかった)をポンポンと叩き
皿の上に乗ったピクルスをもう一つまみして口に放り込んだ、嫌いな味だが、このときだけはその酸っぱさが心地よく感じた

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PL
うあー...全然駄目駄目な気がしてきた、もう何完結させちゃってんの?ってな感じです
遅れに遅れた挙句こんな内容かよ!と文句言われても仕方ないと思ってますorz
もし駄目なら修正なり、削除なりしますのでよろしくお願いいたします