苦手なアイツ

イシュタル [2012/06/21 19:18]

「ふぅ...まぁ、楽に見つかるとは思ってもいなかったけれど...こうも見つからないのでは、ね」

近くにあった椅子に腰掛けて私は溜息を吐いた、私がここまで必死になる必要はないのかもしれない
これは私のではない...と放置するのが普通の考えなのだろう、それが最も手っ取り早い、自分が気に病む事がなければ...だけど

「さて、当たれそうな人は大体当たったし...もうこれは私が代筆するしかないのかしら...」

内容はどれだけ高尚な言い方を用いたところで普通のお悩み相談でしかない、代筆する事くらいはいくらでもできる
私に文才があるかないかは問題だが、本当の"アリス"が見つからない以上、そうする事も考えなくてはならない
私がそう考え、とりあえずもう少し探してみよう、そう思い椅子から立ち上がると丁度行こうとした方向の通路の陰から誰かが現れた

「アリスちゃん、『アリス』は見つかったのかい?」

「げ...アウラダ」

陰から現れたのは同僚の神官アウラダだった、正直言って彼は苦手だ、いつも私を子供扱いするからだ
私は本物の"アリス"を探すために同僚に聞いて回っていたが、彼にだけは聞こうと思わなかった
どうせ「ちっちゃいのに偉いねー」とか言って私の頭を撫で回すに違いないのだ、髪形を直すのも楽じゃないと言うのに

「聞いたよ。『アリス』を探しているんだって。
 これだけ人が出入りしている神殿だから、探すのも大変だよなぁ。
 小さいのにエライエライ」

「人の頭を撫で回さないでくれるかしら...あと中腰もやめなさい、余計に腹が立ってくるわ...」

私の抗議も何処吹く風、笑いながら頭をグシャグシャにしていくアウラダ、流石にイラッときて手を振り払う
これで多少は私が嫌がっているのだと、理解してくれれば...していればこんな扱いは続かないわよね...ハァ...

「ま、がんばりな。
 見つかったらきゅうりの酢漬けを身長の分だけ奢ってやるよ」

「あら、ありがと...そうなったらあなたの口に全部ア~ンをして詰め込んであげるわよ♪
 二度と人を小馬鹿にするような口が聞けないようにね?」

真面目な反論をしてもアウラダには通じない、だからこそ皮肉たっぷりに返事をしてみたが...
相変わらず笑ったままアウラダは私の背中を叩いて立ち去ろうとした

「...っ、いったいわね、何するのよ」

「おっと、失敗。
 アリスはちっちゃいからな」

「失敗?アナタ何処を叩こうと.........」

私が何かを言う前に立ち去っていくアウラダを見送りつつ、アウラダの身長、正確には手の位置から逆算して叩ける部位を考える
頭、ではない...肩でもない、背中を叩いて失敗と言う事は.........あのエロ神官.........っ!

「あんな不埒な輩がファリス神官とは何かの間違いじゃないの...ファラリスよ、そうに違いないわ...」

私が踵を返し肩を怒らせながら立ち去ろうとした瞬間

「そう言えば」

と、消え去った通路の先から顔だけを出して、アウラダが何かを語りかけてきた

「えらく高位の神官の中に似たような名前のひとがいるらしい。
 まあ僕達がおいそれと逢えるような立場の人ではないだろうけど。
 高位ともなれば仕事や行事で居ないことの方が多いだろうしな」

言うだけ言ってアウラダはまた通路の奥に消えた(首より上だけだが)

「高司祭...か、確かに簡単に会える人じゃないわね、手紙の宛先と言う確証はないけれど...そのような人物がいることくらいは調べれる
 ま、仮に手紙の宛先だったとしても返事を書いている余裕があるのか、という問題は出てくるでしょうけどね」

私はそう考えながら、最後の最後に助言だけ残して消えたアウラダの消えた先を見ながら

「礼は言わないわよ、セクハラで訴えられないだけ神に感謝するのね...」

とだけ呟いて、今のところ唯一の手がかりである高神官にいると思われる"アリス"の存在を確認すべく、私は動き出した

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PLより

ちょっと親族に不幸がありまして、19日午後~21日午前までセッションを確認する事が出来ませんでした
事前報告がなかった事をお詫び申し上げます

プレイヤーの方針としてはアウラダの助言?により手がかりとして出てきた高司祭にいると思われる似た名前の人物を調べます
出来れば最近討伐に行っていたか、などの詳細もわかれば嬉しいですが...高司祭の行動ともなると機密になるかもしれませんねw
該当する人物はいるが、会うことは出来ない、手紙を渡す事も出来ない(神殿内にいない)というなら
返事を書く事にします、だらだらと引っ張っている感がありますが、よろしくお願いしますw

>タリカさん
NPCの提供どうもです、有難く使わせていただきました
毒づくよりも「アウラダって実は私にほれてる?」とか自惚れたイシュタルの展開も面白いかなと考えましたが
実は口が悪い、というのが一応の設定ですのでこのような展開にしましたがいかがでしょうか(笑