神を信じて

イシュタル [2012/06/28 08:35]

突然背後から現れたアウラダに手紙をとられ、私は手紙を持っていた手を何気なく見つめ、そして思った

確かにアウラダの言うように明らかに私宛ではない、と判っている手紙にこんなに悩むのはおかしいのかもしれない
彼から得ていた情報を元にして、ファリス神殿にいる私以外のアリスに送るように誰かに言伝を頼めば良いだけの話だ
何故私はこんなにこの手紙にこだわるのだろう?こだわる意味も理由も私には何もないと言うのに...
あるのは妖魔により家族を失いながらも懸命に生き拙い書き方ながら必死に手紙を出したニコルへの神に仕える者としての同情心程度だ
それともきゅうりが嫌いでニコルに嫌われてしまったケリーに自分の未来を投影しているとでも言うのだろうか
私も偏食を続けていれば、いずれ同僚から見向きもされなくなるのではないか、と

(そこまで重く考える必要はないと思うけれど...ありえなくない未来だけに想像できる自分が嫌になるわね)

自分の考えに苦笑を漏らして、私は手を見つめるの止めアウラダに視線を向ける

「アナタがその手紙をどうする心算なのかは知らないし、知る心算もないけれど...私は"一応"手紙の返事を書いておくわ
 本物のアリスが見つかるとは限らないし、アナタがそもそも探すのかという問題もある...けれど」

そこまで言い、一息ついてから私は言葉を続けた

「アナタは軽薄で女性にだらしがなくて、飄々としていて私からしてみれば信頼性のかけらもないし、スケベでどうしようもない人だけど
 困っている人を見捨てるほど薄情な人間じゃない事くらいは判っている、だから...出来れば本物を見つけてあげてね」

「もしどうしても本物が見つからない、本物はいたが返事を出さないような人なら私が責任を取って返事を出すわ
 その子は、ファリス神官のアリスに助けを求めているのだから...ね」

私はよっと腰掛けていたベンチから立ち上がると、天を仰ぐ
雨が降ったあとの空は空気が澄み、願えば空の彼方までいけるのではないかとも思えるような青空だった

「...我が神ファリス様、願わくば...彼の悩める子等に寛大なるご慈悲とお導きを与えられん事を...」

澄み渡る青空に向け、私は神への祈りを捧げる
あの手紙が本物のアリスの下へたどり着けるように、そしてあの子等の仲違いが修復されるように...と

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PL
どうやって書けば良いかな...とかなり悩んだ挙句、こんな短い文になってしまいました
アウラダに手紙をとられたとは言えイシュタルが何も行動を起こさないと言うのは変ですしね...
って言うか、アウラダをボロクソにいってるけど良いんだろうかw

あいも変わらず修正する箇所などあったらご指摘お願いしますね