外は晴空、心は曇空、手紙のアリスは何処の空?

イシュタル [2012/07/16 08:36]

「しかし、搦め手ねぇ。
 君の目には僕はいったいどういう風に映っているのかな」

『...決まっているじゃない、女たらしの不真面目エロ神官よ』などとは口が裂けても言わないでおこう
アウラダにとて傷つく心くらいは持ち合わせているだろう、それに少なくとも私に協力してくれている
それを無碍にするほど私は薄情じゃあない、もっともなじられた方が嬉しいと言う特異な人間もいるらしいが...
アウラダがそれに該当しない事を切に願うしかない、とアウラダに撫でられて乱れた髪をセットし直しながら私は心の中で続けた

「まあいいや。
 気が向いたらあたっとく。
 『困っている女』ならともかく、それが子供じゃあんまり気がのらないからな。
 な、ちっちゃなアリスちゃん」

「"ちいさい"は余計よ、本来ならば私を小さいと言う人間は許さない所だけれど、あなたのそれに侮蔑は含まれて居ないでしょうからね
 今回ばかりは勘弁してあげる、でもあまり言わないでもらえるとありがたいわね...ああ、あと協力に関しては素直に礼を言っておくわ」

アウラダに対し素直に礼を述べると、彼は少々戸惑ったようだった、私が怒らないのが意外なのか、礼を言うのが意外なのか...
まさか本当になじられるのが好きなのでは...という危険な予想は置いておいて...私は呆ける彼を残し、その場をあとにする
しかし...このときの依頼が後に私にとって後悔を招く事になるとは、その時には私には予想できなかった...

-しばらくの時間が過ぎる-

アウラダに調査を頼んでしばらく、なぜかそこらで苦情のような言葉が私に殺到した
いや、正確には私への苦情ではない、アウラダがなにがしかをした...というものであったが
元を糺せば私がアウラダへの調査依頼が遠因だろう、なぜなら苦情の殆どがアウラダによって強引に"アリス"にされかけたと言うモノ
苦情を言ってくる神官達の名前は"アリス"とは程遠い者ばかり、何処をどう聞き間違えてもアリスとは間違わないだろう者もいた

「出来れば名前が似通っていて、ニコルという名前に聞き覚えがある女性を対象に聞け、と言ったはずなのだけれどね...」

一人の女性の苦情を聞き終えて、去っていくその後姿を眺めながら私は呟いた
考えてみればアウラダに女性の調査をさせるほうが間違っていた、あの男には女性の知り合いはそれこそ星の数(誇張)ほどいる
恐らくはニコルという名前に聞き覚えがある女性全てに私の言う搦め手、とやらを実施したのだろう
ニコルなどという名前はオランを探せば何人いるかわかったもんじゃない、当然その知り合いならごまんと居るはずだ

「......ふぅ、アウラダも必死に?調査してくれてるんだから弊害は少しくらいは出ると思ってはいたけれど...やりすぎね」

決して横のつながりが強いとはいえない神殿内という閉鎖空間において、積極的に協力してくれるアウラダの行動は嬉しくないわけはない
しかしそれが弊害しか生まぬと言うのであれば話は別だ、元はといえばアウラダの女性関係?に依存した依頼をした私が悪いのだが...

「なにはともあれ、彼を止めるのが先決か...私が依頼しておいて私が止める、これがどれほどの矛盾か...
 私は焦っていたのだろうか...ニコルへ返事を出す人を早く見つけなくてはならない、と...それとも...」

自分でめぐらせた考えにヤレヤレと頭を振って鬱屈した気分を一掃する、とりあえずはアウラダを見つけよう
彼を止めるなり、彼の行動に少しの修正を加えるなり、そんな事は彼を見つけてから考えれば済む事だ
もしかしたら...本当のアリスを見つけている可能性もあるかもしれないのだし、ね

そう考えながら私は神殿内を怒られない範囲で駆けてアウラダの姿を探し始めた、廊下は走ると怒られるからね...

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PL
終わりが見えない...っ!?これはやばい展開か...!自分で引っ張っておいて何言ってんだという感じですが

>タリカさん
イシュタル×アウラダのラブコメ希望...!?ってそんな訳ないですよね、ははは...コメディではあってもラブはなさそうだしorz
使える者=仕える者というアナグラム(って言うのかな?)は面白いですね
元ネタはもちろん立っているものは親でも使え、という言葉なのですが、イシュタルからすれば仕える者というより
頼めば引き受けてくれる人のいい男、でも性格は...という感じの見方です

>GM様
書きにくくしているのは私の思考能力です(ドヤァ
イシュタルがイシュタルらしく...むぅ...「ええいメンドクセェ!私が書けばいいんだろ書けば!」と酒を飲みつつ返事を書くイシュタル...
なんか違うなぁ...その辺りは次回以降の宿題と言う事で(ぇ

以下雑記
>パン食べに行こうぜ!
近所のパン屋で土曜の丑に因んでうなぎパンというモノが売りに出されました、勿論本物のうなぎが入っているわけではなく
うなぎの形をしたひょろ長いパンな訳ですが...結構いけました、うなぎの形をしているだけに長くてちょっと量が多いので
複数個を食べるのは無理っぽいですが、面白い試みだと思いましたね

 

毎度の事ながらタイトルに意味はありません(キリッ