ジネブラの場合
GM
[2012/07/22 02:05]
あんっ!もう!
鞄の汚れが広がらないように注意して、昼間のオランの街をあるいた。
今日はおつとめがせっかく早く終わって浮かれていたのに、今は気分が最低だ。
「うう・・・許せなーい!」
これは大問題だわ?!
明日、侍祭へ報告しないといけないことよ。
仮にもファリスの神官がやっていいことを超えてる。
アウラダ、今度こそあなた、"聞こえなくなる"わ―――。
そうなってほしくないもの。
わたしは、手でファリス神への祈りの動作をきった。
今日はもう、甘いお菓子と夕食用のパンでも買って、気を紛らわそう。
「こんにちは~」
お店の装飾がかわいいから、このパン店が好きで、よく通ってる。
店番をしているのは、いつものキムと、猫のジム。
ジムはわたしを見ると、顔を洗い始めた。
「あらやだ、ジムったらお洒落してる」
そういって、いらっしゃいませとキムがいう。
飾らない自然体な態度で接してくれるこの可愛い店員さんとのおしゃべりも、
今は多くなっていた。
「キム、今日はオススメある?」
わたしがそう言うと、キムは「うん」と言った後に、何か思い出したような顔をした。
「そうだ。アタシのこと、今日からアリスって呼んで!」
「へ?」
唐突にそう言われたんだけど、今のわたしには・・・なんっか思い当たる!
「なあに?それ。もっと詳しく聞かせて」
わたしは真剣な声音で、キムにそう言うのだった。