プロデュース

JG [2012/06/19 00:06]

 


 「 だコリャ・・・ 」

 

 たまに。

たまーに、そうだ、こういう、イカレたファンレターが届くことが、ある。

ああ、慣れっこさ。慣れてんだ、僕は。こういう類には。こういう輩には。


 まただ。

そう、またきた。居るんだ、こういうのが。そういうのがまたきただけだ。

へいちゃらだってんだ、むしろうれしいね、アブノーマル上等だってんだ。


 階段をおりながら、


「 ジョージ、ジォョージ!! 」


こんなもんよこしたのは、どんなヤロウだ、教えて聞かせろよ、

って、オヤジは「しらねえ」ッと、よ。


 しらねえって、おめえ、


こちとら個室の上客だぞ。
どんなんなってんだココのセキュリチィってヤツぁよ!!

と、半笑いでジョージに詰め寄ったのは、
ココのセキュリチィってヤツがどんなんなってっかなんざ、

僕の方こそ、よォくご存知だってんだコンチクショーめ。


「じゃあ、アレか、勝手に入って、勝手に置いてったってことか?」


いやあ、まだまだ早計失敬。
僕の部屋に勝手に入り込むヤツなんてな、そっこら中にいらァ。


「 パムだべ? 」


誰かに頼まれて、直接届けに来るとかならな。

エグもそうだ、

シナモンも怪しいな、

アースもないハナシじゃねえ・・・

・・・


・・・


「・・・違うなあ、ネギやアースなら、一声ぐらいくれっかんな。」


パムやシナモンじゃない理由?

紙がよごれてもやぶけてもねえからだよ。


「リュシートってセンもあるが、」


だったら、ジョージが出入りを知ってるはずだ。

来てねえだろ?な?


「 ───── ま、いいや、捨てっちまってくれ、」


そう言って、ぼかぁぺらっと厨房カウンターに紙を放って、

足取り軽く、もときた階段を上がっていった。

 

fin

 

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 「 待った 」

 

ダダダダダダダっと厨房へ取って返し、
まあ実際そんなに慌てなくとも、ジョージがそんな簡単に人の手紙を、

 

「 うぉい!! 」

 

燃やそうとしてんじゃねえよッ!!
真に受けてんじゃねえよッ!!
返せよッ!!悪かったよッ!!

 

端っこちっとばっかし灰になったけども、ゲットバック。

 

 ぼかぁ、くだらねえクレームなんかは、半分も読まねえでポイッと・・・

・・・ああそうか、どおりでジョージが燃やすわけだ。

そう、そうポイッとやっちまうんだけども、


こいつの手紙は、そこそこ面白かった。終わりまで読めたからな。


あんまり好きになってもらっても、おべんちゃら一辺倒の内容だったり、

マジでイカレてっと、もう支離滅裂でつけてけねえトリップしてやがる。


自覚はあんだよ。
そりゃあ好き勝手なオンガクやってりゃあ、おかしなのも沸いてくらぁ。

読むに耐えねえラブレター貰うぐらい、副作用としちゃあ軽い悩みだぜ。

 

しかし、なんつーか、こいつには、妙なチセイを感じるな。

 

今、読み直してる。


廊下歩きながらだから、ぶつかった。誰だ?

 

ええと、ここだ。

『 完璧すぎて、リアルじゃない 』

テンポのくだりはどうでもいい、好きにやれ。

てかおめえ、テンポが完璧じゃねえから納得できねえとかケチつけて、


いい、いい、そこはいい、もういい、考えるとバカになる、


『 生きていない 』


・・・言うじゃねえか、このやろう、


「・・・言ってくれんじゃねえか、このくそやろう!!」


あ、口に出た。なんでもない、わりぃ、気にしないで。

 

 

 僕は、部屋の前に立って、考える。

 

 

考えた。こいつが、これを、自分で置いていったんなら、

こいつは、僕がこれをちゃんと読むか気になるだろうし、

気になるようなヤツなら、僕がどんな反応をするか、

気になって気になって、仕方ねえんじゃねえか。


そのぐらいの狂気、だったら、持ってそうな期待はできる。

 

 

   「 グレート 」

 

 

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お手紙、どうもありがとう、ファンキーガイ。

熱心でクレイジーなキーワードが散見してて、

クソ嬉しいよ、サノバビッチ・フォーユー!


とてもよくわかるぜ、最高だ、黙ってろ!


伝わるかい?この高揚した愛と平和。


オレにはちっともわからんぜ。大丈夫か?


はははは(笑) おお、使ってみると、ワリとハイだな。


テクニシャンな気分になるぜ。気分だけな。

 

ユー、ほんとはわかってるんだろ?人が悪いぜ。


驚いたね、逆に、或いは驚いたね。むしろ吹いたね。


まさか、ジョーク半分、"アレ"に気がつくヤツがいるなんてね。


アレだよ、アレ・・・興奮するぜ、身悶えるぜ、夏の恋は幻だぜ。


これは、ある意味、オーディション、である。


わかるな?


そうだ。


あの半拍 ───── 神の領域の、テンポだ。


オレにオンガクを続けさせたかったら、


詩、送ってこい。


あて先は、こちら。

 ↓ ↓ ↓

どしどしふんどし。

意味はわからないが、最近ホームレスが呟いていたフレーズだ。

気に入っている。


一緒に、トゥゲザー、夢見ようぜ!!


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返事をそっと、自室のテーブルの上に畳み、


僕は、出かけた。


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PL:

クレイジー? 冗談、序の口だろ?

僕はどこかに出かけたぜ!