朝焼け

アレル=リリー [2012/06/22 21:50]
自分にとって朝とは、一日が終わる時間だ。
自分のような裏家業の人は、夜の闇に身を隠して行動することが多い。
だから、必然的に昼夜が逆転してしまうことも多い。
もちろんそうじゃない人もたくさん居るけれど、少なくとも自分は逆転しがちだ。

「ん~・・・・眠い・・・」

朝日で滲む視界を擦りながら、家への帰路を歩く。
そして、着く。

「・・・・・・ん?」

家に着いて一番最初に気付いたのは、玄関扉の隙間に刺さっている小さな紙。
この光景を、自分は見た事がある。
あれは何日前の出来事だったか。

スッ、ガチャッ。

紙を引き抜き、扉を開けて中に入る。




椅子に腰掛け、窓から射す朝日で手紙を読む。
家には明かりがない。
ランタンはおろか、蝋燭の一本すらも。
だから家では、夜に何かを読むというのは、よく晴れた日でないと不可能だ。
なので、太陽が昇っている今のうちに読むことにした。


「・・・・思い・・・出せない・・・?」

手紙を読み終わって気になったことを、率直に呟く。
ニナさんは、アンソニーさんのことを覚えていないのか?
いや、それはないはず。
だって、アンソニーさんに関する情報を、ニナさんはちゃんと記述してくれているではないか。
だから、完全に忘れているわけではないはず。
・・・・しかし、記述量が少なすぎる。
いや、人探しをするにおいては、十分な情報量だ。
これだけでも、アンソニーさんが見つかる可能性は大幅に上がる。
だから、自分はこの量に不満はない。
でも――――肉親が語る量としては、圧倒的に少ない。
性格とか、癖とか、肉親ならもっと色々書ける筈だ。
だが、彼女の手紙にはそれがない。
思い出せない?記憶が無くなっているのか?
いや、ただのど忘れの可能性もある。
なんにせよ、この手紙からでは深く予想することは不可能だ。

「・・・・・返事、書こうかな。」

一度思考をストップさせ、羽ペンを手に取る。




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ニナさんへ。


情報提供、ありがとうございます。
自分が好きでやっていることなので、迷惑だなんて考えなくてもいいですよ。

貴方から貰った情報を頼りに、自分のツテで、アンソニーさんを探してみたいと思います。
差し当たって、もっとたくさんの情報があると捜索が捗るのですが・・・・
性格、癖、特徴、口調。
どんなことでも良いのですが、思い出すことは出来なさそうですか?
出来ないようなら、無理にとは言いません。
思い出せたら、そのときにまたお手紙をいただけると助かります。

それでは、お元気で。



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PL
アンソニー設定ばっちこい!暗い設定ばっちこいですよ!
どんなくらい話も、ハッピーエンドにする!
出来なくても、最大限足掻く!それが私の生き様!

あ、ニナさんから貰った情報で、またギルドやら酒場やら知り合いに聞き込みを行いまーす。