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サブGM [2012/06/27 23:01]

「さて・・・と。行ってみようかな。バッファロービル」

ぎぎぎ、と家の扉を開ける。
嫌がらせのせいか、前より開きづらくなっている気がする。
――問題は、それが自分の気のせいでもおかしくないぐらいに、元からボロい扉だということだが。


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エグランチエの言っていた店はすぐに見つかった。

肉の串焼きの焼ける香ばしい匂いが辺りに漂っている。
軒先には大きな角の生えた馬頭が提げられており、
それと同じぐらいに威圧的な風貌の主人がカウンターの中で肉を切り落としている。

その手前では、そんな背景にそぐわない美しい金髪の若い女性が店番中だ。
どうやら、これが噂の美人、ジョディ夫人ということなのだろう。


「あー・・・やっぱり外れ、ですかね」

アレルは店の前で呟く。
そう、ニナからの手紙にはこうあったはずだ。

アンソニーは髪は薄い茶色で、瞳はグリーン、現在の年齢は22。

だがどうだろう、目の前で豪快な包丁さばきを見せているアンソニー主人は、
髪は薄い茶色だったのかもしれないが、少なくとも今は一本も残っていない。
目は青いし、年齢はといえば40代から50代といったところだろう。

「まぁ、折角来たんだから聞いてみるだけでも聞いてみましょう」

それに、この串焼きを今日の朝食兼昼食にするのも悪くない。



「ごめんください、これを・・・そうですね、2本頂けますか。
 ・・・それから、こちらにアンソニーという人が居ると聞いたのですが」

「毎度ありがとうございまぁす。1ガメルですぅ。
 はい、居ますよぉ。・・・おぉーい、アンちゃぁん、お客さんだよぉ!」

アレルがアンソニーについて尋ねると、ジョディは見た目とは裏腹の大声で店主を呼び出した。

「ハイハイ、なんだ? ・・・ゲッ、お、お前は!!」

肉汁で濡れた手を拭きながらやってきた店主は、アレルを見るなりたじろいで飛び退った。

「おいおい、手紙ならもう届けてやっただろう?
 まだ何か――」

「やだ、アンちゃんってばぁ、どうしちゃったの?」

店主の頭に浮かぶ汗を、夫人がゆっくり拭いてやると、店主はひとまず落ち着いたようだ。


「ああ――すまんな、お客さん。どうやら俺の勘違いだったようだ。
 お詫びに、好きな肉をサービスしとくぜ。適当に選んでくれ、ジョディが包むからよ。
 
 で、何が聞きたいんだ?」

カウンターにどっしりと構え、本来の威厳を取り戻した店主がアレルに尋ねる。

「ごめんねぇ、アンちゃん最近、ちょっと色々あってねぇ。
 あ、牛と豚と鳥、どれがいい?」

一方、ジョディはテキパキと作業を進めている。
頼めばこの場で調理もしてくれそうだ。



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――また、へんな女がいるな。

アレルの家の前で日課をこなすジャンの視界の隅に、
小走りで去っていく女の人影が映る。

だが、ここはもともと勝手に空き家に住み着いて咎められないような町外れだ。
へんな奴の一人二人、このあたりの住民はまるで気にも留めない。

ジャンもまた、付近の住民と同様かもしれない。
......いや、むしろジャンもへんな奴の一人だろうか。



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サブGM(ここあ)より:

おまたせしました!
アレルート進行であります。どうでしょうか...!(ノノ

GMからもまったく設定とか聞かず雰囲気で乗り込んだエグルートの方とは違って(笑)、
こちらはアンソニーネタについてGMに確認しております。
その上で自由にやれとのことなので、自由に動かしてみてます。うふふ。(''*