銀色の星

サブGM [2012/07/06 23:31]

バッファロー・ビル精肉店を後にして、
アレルは走る。




がんがんがん、
勢い良く降りた階段の振動が、大きな馬頭の角を揺らす。
その影を目の端に捉えるが、今はどうでも良い。





急げ、アレル。
――自分の足は、身体は。もっともっと速いはず!



かんかんかんかん。


十万都市オランの中央通も、夜が深まれば静かなものだ。
昔アンソニーとニナが数えたという、石畳。
それを踏む音だけが街中に響く。



――この石畳の音は、数十年前と一緒かもしれませんね。



アレルは一瞬、幻を見た。
小さな子供たちが笑いながら自分の前を走っている。
それは楽しそうに。



アレルはそれをつかもうと更にスピードに乗る、
だがその瞬間、スッと掻き消えた。




過去と今が入り交じる、不思議な月夜を、走る、走る――。