伝言

GM [2012/06/17 03:10]
ピィ――――――――――


草原に、青空に、タリカの口笛が響く。

「グレイ」

革の手袋を嵌め腕を天に掲げると、灰色の鷹はまっすぐ水平に羽を広げ、
タリカの腕にとまろうとやって来る。

グレイの羽の一本一本が見えるようになればすぐ訪れる風圧。
前髪はめくられ、タリカの結んだ黒髪が揺れる。
腕には鉤爪で掴まれた確かな感触があった。

「散歩は気持ちよかった?」

声をかけると、最愛の相棒は僅かながら頷いているような気さえする。

「そう」

微笑んで、背を撫でた。

「移動しましょう」



狩りをするのは、生活のためと、腕を鈍らせないため。
オランの街と森林を行き来するその姿は、周辺の農民にもよく知られている。

タリカが丘から降りてきた時、彼女を呼び止める声があった。

「すいませーーーん」

成人したばかりだろうか、まだ若い男だ。
雰囲気からは、少年といって差し支えないようにもみえる。

やや息を切らし、その男は笑みを隠せないでタリカの前に立った。

「や、僕、あなたのこといつも見てました。
 あそこの森でよく狩りをしていますよね。
 僕、そこの家なんです」

初夏の畑は緑々しい。

「あっ すいません。
 あのですね・・・これを」

彼が手渡したのは、後ろのポケットにしまわれていたせいで皺になった一枚の羊皮紙。

「なんだかわからないんですけど、母が朝に『鷹を連れた黒髪の女の人に渡せ』って。
 今日、あなたが来てくれてよかったです」

用事は済んだというのに、男は去る様子をみせない。

「僕、ダリルっていいます」

束の間のあとそう言って、男は満面の笑みを見せ、来た道を走って戻っていった。


誰からだろう。
タリカは、ダリルが皺にした羊皮紙を開いた。


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たかの おねえさん

ぼくは すぐ近くに 住んでいるのに
こえが じょうずに 出せないから こえを かけられなかった

ぼくも たかに さわりたい

                   フラン

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そして、簡単な絵で地図が書かれていた。

オランの北門から伸びる街道、脇のもり、川。
タリカはこの拙い地図だけでもすぐに理解できた。

「ここ」と書いてあるところが差出人の住む場所なのだろうということも。



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GMより:
タリカさんはこちら!

最初、グレイに手紙持ってきてもらおうとしましたがその方が難しい・・・!
ということで人づてです。

手紙を届けてもいいですし、遊びに行っちゃってもいいです。
お好きにどうぞ!

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