波、二回目

GM [2012/06/27 00:38]

いつもの道を、タリカはほんの少しだけ恥ずかしそうに歩いた。
なぜならば、この道沿いに知り合いができてしまったからだ。

そう。
ここから見えるあの畑の中の、真ん中の赤い屋根がダリルの家。
彼は見ているだろうか、見ていないだろうか、少しだけ意識してしまう。
ほんの少しだけ。


もらった手紙に何度か目を落とし、手描きの簡素な地図を見る。
方向を間違ってはいない。

一体フランとはどういう人なのだろう。
そういう興味よりもタリカはまるで任務のように、手紙の主の元へ赴く。

『きて』

と書いてあったから、タリカは行く。

『あそびに きて』

の文字を、タリカは無視しない。

進む方向をまっすぐに見据え、緩やかな上り坂の道を進んだ。
その足取りは、あまり軽いものではなかった。


今日はやや空が曇っている。
仰ぐと、厚みにムラのある雲が所々、空の色を透けて見せていた。
強い風が一瞬でも吹けば、その雲の部分が破けそうだった。

しかし、タリカにはわかる。

「グレイ。今日はなるべく早く帰りましょう?
 これはひと嵐来そうだもの」

これからもっと雲が厚くなり、どんな風が吹いても青空が見えない空になることを。


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道など、あってないようなものだ。
僅かばかり雑草が生えていない程度のけもの道は、雰囲気も人里のものではない。

「先にお行き」

腕を払ってグレイを飛ばす。
気楽な場所でも時間でもないから、この相棒が伸び伸びと振る舞えるようにした。
そうすればいつだってグレイはタリカを守れる。

日の差さない森は暗い。
音が、そして音にもならない空気の震えが、大事な情報を抱える。

耳を澄ました。
肌の感覚をも研ぎ澄ます。

3つ先の木の枝にリスがいる。そのずうっと奥に鹿がいて、水を飲んでいる。
水はどこから流れているのだろう、山だ、北西に頂上のある山から雨水の筋がそこまで流れこむ。
雨。もうすぐ降る雨はオラン南の海水がいつか蒸発したもの。

この一枚の木の葉の色さえも理由がありそうなくらい、世の中は根拠の連続だった。
音と風は情報を運ぶ。それは過去現在関係なく、ものが存在する理由を教える。

タリカは情報の中にいた。
波のようで、呑まれてしまいそうだ。

一度そう感じてしまえば、空気さえも蜂蜜のような粘度を持っている錯覚を憶える。

力を抜いて、ゆっくりゆっくり息を吐く。


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GMより:

波!波!
前回書ききれてなかった部分です。が!あまり意味はありません。。
意味もわかりません(

何がやりたいって、タリカルートはこういう感覚的なことがやりたいという私のわがままですスミマセン(平伏)

がるふぉさんは気楽でいいのですよ!
むしろ無視しても構いませんッ