たかのひと。

タリカ [2012/07/06 17:37]

 ねえ、ママ。

 たかのおねえさんは来てくれるかな。

 来てくれたらなんでもあげるのに。
 ママが残してくれたこまや竹とんぼ、おもちゃの弓、えほん、なーんだって。
 僕はこの小屋のおうさまなんだから。

 ママ、僕あのたかにさわりたい。
 だって、すっごくかっこよかったんだよ。



 扉の外で気配がした。

 ?!

 「あ、あ・・・!」

 たかのおねえさんだ!たかのおねぇさんがきたんだ!

 ねぇ、ママ、タリカが来てくれたんだよ!

 僕は慌てて、だけど転ばないように気をつけて、戸の所まで急いんだんだ。
 ふらふらしてしまったけど、歩くような速度だったけど、戸の所まで急いだんだ。
 足がもつれて転びそうになったんだけどテーブルの端に手をついてこらえたんだ。

 あ、ああ、たかのおねえさん!

 がらがらがらっ。

「あ、あ・・・!」

 タリカ!

 そこにはいつも窓の向こうからしか見れなかった、ちょっと背の高いくろかみのおねえさんがいた。
 ああ、たかのおねえさんだ!
 タリカだ!

 僕はうれしくて抱きついたんだ。

 ああ、窓の向こうのそんざいだった、たかのおねえさん!
 そのおねえさんが来てくれた!

 抱きついたおねえさんは、ちょっとだけママの匂いがした。
 懐かしい匂い。
 半年前に消えてしまった匂い。


 あ、そうだ、とりは?ねぇ、たかは?

「ぉー いっ」

「ぁー かっ?」


 タリカおねえさんは僕にぶかぶかのグローブをはめたんだ。
 それはタリカおねさんがつけていたもの。
 しわくちゃの手にしわの入った皮のグローブ。
 そしてそこに乗せてくれたんだ、たかを、はいいろのたかを。

「あ"ーっ」

 かっこいい。
 よく見ると目玉が綺麗でかわいいかもしれない。
 でも羽を広げると凄く大きくてやっぱりカッコ良かった。
 背中をさすったら羽の感触が気持ちよかった。

 ぶーん!
 僕も飛べるだろうか。
 このたかと。


『グレイ、と言うんですよ』

 タリカおねえさんが手紙の続きに書いてくれた。

「ぐっれー」

 グレイはせわしなく首を動かしたり、羽を繕ったりしていた。

「ぐっれー」

 ぶーん。
 僕はグレイを乗せたまま、鳥が羽根を伸ばすように、腕を水平に伸ばしてゆっくり走ったんだ。
 そのまま空が飛べるといいなって。
 僕も空を飛びたいなって。
 グレイと。

 グレイはどんな景色を見ているんだろう。
 ねぇ、グレイ?
 僕の視界はもう白くぼんやりしちゃってるんだ。


『外で飛ばしてみますか?』

 タリカおねえさんが外へ行こうって。

 う、うん!

 僕はおもいっきりうなずいた。

 僕は今日たかの人になれるんだ。

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 がるふぉ@PL:

  タリカを略したらタカになるという事実に気が付きました(どうでもいい

  鳥さんありがとう!
  おかげ様でフランのキャラに厚みができましたね(^^

  時間切れでひとまずここまで!
  GMの期待に応えられているかどうか...。

  次は3人でダイブだ!(嘘)

  次号は土日明けになります(謝)