GM [2012/07/11 06:13]
ママ、僕は外へいく。

このグローブははめたままでいいのかな?
まるで、僕が持っているのが運命なように、この手に合ってる。


今日は少しだけさむい。
だけれども、今日は少しだけ調子がいい。

タリカおねえさんの方を見てみる。
どうやって飛ばすんだろう?

ああやるんだね。

「もぅ ぃっかぃ」

楽しい。

「たりか」

あってるかな?
もうほとんど耳が聴こえないんだ。

「たりか」

灰色の湿った空を見上げるタリカおねえさんは・・・。
僕は、ずっと見ていたくて・・・。
ずっと・・・。
なにか・・・。

もう、わすれちゃった。

どんどんわすれていく。


タリカおねえさんをまんなかに旋回するグレイは、とってもりっぱ。
あのタカを見ていると、僕も前だけみて進もうって思う。

僕も空を飛びたいな。

想像しようとして、目を瞑った。

だけれども、色もなく、音もない世界しか来なかった。

あわてて目を開けた。

目を開けたら、そこには――――


「    まま」


『・・・どうしましたか?』


結んだ黒髪揺れる、ほほ笑み。


僕はわすれてなんかなかった。
わすれちゃいけない。



おでこに、なにか当たった。

「あえ」

雨。

タリカおねえさんは微笑みを消すと、空を見上げた。

『フラン様。中へ戻りましょう』

「え・・・?」

よく聞こえなかった、というふうに聞き返すと、タリカお姉さんは僕の手をとった。
ああ、戻るんだね。雨が降ってきたからだね。

「ぐえーは?」

『グレイはとても賢いですから、心配要りません』

折を見て玄関先へ戻ると、タリカおねえさんはそう言う。



  トン   タン   トン

小屋の屋根に雨が降る。
それはだんだん激しくなって、平坦な音になる。
タリカお姉さんの衣擦れの音もかき消される。

『これは、待つしかないでしょうか』

グレイを腕に乗せて、タリカお姉さんがそういう。
僕は、さっき遊んで眠くなってきてしまった。

うつら、うつらと椅子に座り瞼の重みを楽しむ。

目の前にいるタリカおねえさんが・・・だんだん・・・
あれ・・・? ママ・・・?

ああ、ママだ。

「―――お願いです、どうかご慈悲を...命だけはお助けを。」

あ・・・

   「―――――――――」


僕、何度も見たよ、この場面。


「試練...?」

   「――――――」

「未来...。」

   「―――――"汝の欲する事を為すが良い"



「あああああ」

僕は、僕の声で目が覚めた。

「ま」

ママ。僕を見て!

『フラン様、フラン様。
 いかがなさいましたか?
 何か、悪い夢でも?』

「あ・・・」

ゆ め・・・?

「たりか   たりか」

僕は椅子から退いて、タリカおねえさんにしがみつく。

そう、夢を見たんだ。
こわーい、こわーい夢を。

「ぉく、どっか、へん?
 ぉく、わうい?」

僕は悪い子なの?変な子なの?

ママが、僕を見て叫んだ!
許せない、許せない!
ママは僕を見て、笑わなきゃだめなんだ!
なのに!

夢と、過去と、現実がいっしょくたになっちゃって。

「ぅあああ!」

かんしゃくの声を上げた。

涙が出たから、手で拭った。

手が、しわくちゃなんだ。
どうしてなの。

『フラン様、フラン様!
 落ち着いてください』

タリカの胸の中で、泣いた。

『フラン様は、変でも悪くもありませんよ』

そう言いながら、でもタリカは、僕の顔をじっと観察するように見るんだ。
さっき空を見上げた時みたいに。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――
GMより:

暗いよおお;;
盛り上げるはずが下の方向へ盛り上がってしまった・・・。
のんびりオモチャ遊びする予定だったのに。どうしてこうなった。鳥め・・・!(笑)

タリカはカースのことに気がつく前に、フランの中身と外見が一致していないことについてどう考えるかなあ?と思ったのでここで切ってみました。
あんまり進んでないですね!(謝)

嵐が来て雷がピシャーっと鳴って・・・とか考えたり、
シーンを次の日に変え、フランの生活描写を増やそうか考えたり、
タリカが「あなたはじいさんです!」と手鏡を振りかざしたりとか考えたり、
色々あって困ってます^q^

どうしようかなー どうしようかなー
明るくしたいなあ!ギャグとかじゃなくて、ほっとするようなポカポカした明るさ。
ここから如何にそう持っていくか・・・!