鷹翔。
タリカ
[2012/07/13 16:24]
『こうして、こういうふうに投げるようにして飛ばすんです』
手紙の続きにそう文章を綴ってから、動作で説明した。
いつもグレイを翔ばしているように、右手で投げるようにゼスチャーをする。
フラン様も頷いてゆっくりと真似をする。
タリカも頷いた。
『そうそうお上手です。
それでは一度やってみますね』
グローブとグレイを返してもらい、フラン様と少し距離をおいて実践する。
「グレイ!」
左足で踏み込んで右手を振りぬく。
おそらくパンを食べた数より多くこなしてきたその動作は、
間違えることなく灰色の鷹を大空へ翔ばした。
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小屋の外は幸い開けていて翔ぶのには都合が良かった。
世界は広い。
空は広い。
森の静謐な空気も上空に出れば空の空気に変わる。
湿った空気が近づいている。
僕にはわかる。
この風はしばらくすれば雨が来る風だ。
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「あ"ー」
諸手を挙げて嬉しそうに喜ぶフラン様。
「う"ーん」
そのままグレイの真似をするように両手を鳥のように広げて、ふらふらと走りだす。
「ぉー いっ」
しわくちゃの顔に満面の笑みを浮かべながら。
「もぅ ぃっかぃ」
「たりか」
凄く楽しそうにそう言った。
タリカもつい嬉しくなってしまう。
フラン様が喜んでくれたことと、言葉が不自由なのにタリカの名前を呼んでくれたから。
風が頬を薙ぐ。
なびく髪を手で抑えながら、灰色の鷹の向こうにある灰色の雲を見やった。
嵐がきそうだ。
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わー、凄い!
ねぇ、ママ、たかが翔んでる!
グレイが!
タリカおねえさんが翔ばしたんだ。
「ぉー いっ」
僕は思いっきりグレイに両手を振ったんだ。
いいなぁ、あんなに自由に飛べて。
僕も空を飛びたい。
僕も自由になりたい。
この身体はなんだか重くて疲れるんだ。
僕も自由になれるかな?
ねぇ?タリカおねえさん?
...あれ?
ママ?
気のせいかな。
タリカお姉さんが一瞬ママに見えたんだ。
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ああ、タリカ。
僕はいつも彼女のために翔んでいる。
だって彼女は僕の大切なものだから。
彼女がいなければ僕は翔べない。
でも彼女はきっと僕は何からも自由だと思っているのだろう。
それは確かに当たっている。
だって僕が彼女を大好きと思うことだって自由なのだから。
そう、フランを好きだって思うことも自由だ。
僕を気に入ってくれているんだから、嫌う理由はないよね?
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「あえ」
両手を空飛ぶグレイに差し出したまま、フラン様が声を出す。
空を見上れば雨雲は近くまで来ていた。
風も少し強くなってきたようだ。
『フラン様。中へ戻りましょう?』
「え・・・?」
フラン様は耳も不自由そうだった。
中身は子供なのだろうけれど、身体はもう老人のそれだ。
優しく皺だらけの手をとって小屋へと誘う。
「ぐえーは?」
フラン様が不安げにタリカの顔を見て、それから空をとぶグレイへと視線を移す。
『グレイはとても賢いですから、心配要りません。
続きはまた明日にしましょう。
今度はフラン様がグレイを翔ばす番ですよ』
そう伝えると。
皺くちゃの顔に笑顔が戻った。
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がるふぉ@PL:
書きかけの文章がしょうさんが書かれた記事とかぶっていた!
フランが空を飛びたい所、自由になりたいとか。
嬉しいシンクロであります(^^
書きかけの文章にしょうさんの書き込みを合わせ込んだ感じになっております。
長くなってしまいましたので記事を分けました。
もう一つ連投予定です。
暗いのは大好物でありますよ(^q^)
そしてリレーならではのまさかのグレイ視点の描写。
これはチャットでしょうさんの発言からヒントをいただきました。
ありがとうございます!
とは言うもののこれは酷い自作自演ですね(_ _;)
はっはっは・・はぁ。
なんとかカースを解いてハッピーエンドか、
もしくはそのままでもポカポカして終わらせたいですね!