嵐の夜。
タリカ
[2012/07/13 17:56]
小屋へ入るとやがて雨の音はリズミカルなものからザーッという平坦なノイズに変わった。
小屋の中の小さい音は、そのノイズに消され、フランの耳と口の自由を更に奪うのだろうか。
フラン様は疲れたのか椅子に座ってうとうととし始めた。
身体が冷えないようにひざ掛けをしてあげる。
良い夢が見られるようにとオランで流行っていた子守唄を歌ってあげた。
これでも歌や楽器は少しは扱えるのだ。
だがフラン様の耳にこの歌は届いているのだろうか。
そのやせ細った耳に。
でも程なくしてフラン様は静かな寝息をたてて眠って下さった。
改めてフラン様を観察する。
真っ白な髪。
皺の刻まれた肌。
ガリガリに痩せ細ってしまった腕。
浮き出る血管。
フラン様はいったいどういう状態なのだろう?
外見は老人だけれど『としはななつ』だ。
病気?病気でこんな事になってしまうのだろうか?
呪い?こんな子供に一体誰が?
おそらくフラン様自信にも自分に何が起きたのか把握できていないのだろう。
いったいタリカはどうすればいいのだろう?
フラン様に何をしてあげられるのだろうか?
ああ、こういう時エグランチエ様やプレナ様、アレル様がいれば何かわかるかもしれないのに。
結局何も出来ない。
いつものように、何も出来ない。
フラン様は寝てしまった。
このまま落胆していても仕方がない。
起きた時に暖まれるようにスープでも作っておこう。
台所を借りて晩御飯の支度でもしておこう。
何があるだろうか。
なるべく大きな音をたてないように、包丁で野菜を刻み、沸かした鍋に入れる。
野菜はダリル様の母上が持ってきてくれているのだろうか。
丁度いい鶏肉とパンもある。
鶏肉は煮こめばダシも出るし、柔らかくなって老人の歯でも食べやすいだろう。
「あああああ」
突如上がった悲鳴に身体が固まる。
「フラン様!?」
慌てて台所からフラン様への元へと駆け寄った。
「フラン様、フラン様。
いかがなさいましたか?
何か、悪い夢でも?」
酷い寝汗だ。
怖い夢でも見てしまったのだろうか。
「あ・・・」
「たりか たりか」
「ぉく、どっか、へん?
ぉく、わうい?」
急に泣きだしてしまったのでびっくりしたけれど、フラン様が抱きついてきたからタリカも抱きしめました。
子供を持ったことはないけれど、それこそ我が子をあやすように。
落ち着くように背中をポンポンと叩いたり。さすったり。
そしてもう一度顔と顔を付き合わせて、顔を左右に振ったんです。
『フラン様は、変でも悪くもありませんよ』
とにかく安心させて落ち着かせないと。
あまりにも可哀想で。
あまりにも痛々しくて。
ああ、この子はいったい何を背負っているのだろうか。
一瞬だけ、顔の皺と白い髪に注意を奪われてしまいました。
もう一度フラン様の瞳を捉えた時、フラン様がタリカの視線に気がついているということを悟ってしまったのです。
タリカの注意が老人のそれに向いてしまったということを。
ああ、なんという事を...。
「ま まま」
「まま!」
フラン様はまたタリカにしがみついて泣き出してしまいました。
その時、窓の向こうが光り、大きな雷が鳴った。
嵐はまだ収まりそうに無かった。
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がるふぉ@PL:
はい、進んでいません(土下座
明るくなってません(土下座
タリカとしてはフランの状態は病気?呪い?と感じますが、
いかんせん知識がないので「わからない」と言うところですねー・・。
個人的にはフラン自身が自由を感じるという体験ができたらカースを解除するとか、
カースを解除できなくてもぽかぽかするような話になればそれでいいかなーと考えてます。
別に暗いままでも良くてよ?(''
まあ成り行きで(^^