近い過去

GM [2012/11/05 20:08]

そこは"ジョージの角なしミノタウロス亭"のとある一室。
公にしたくない、できない依頼の話をするための部屋でもある。


そこには依頼人レンバートがテーブルについている。
ジョージはマリアにホールを任せて、扉の脇に立っていた。


「もう少し詳しく話してくれねえと、こいつらもどういった準備が必要かわからねえや。
 場所はどこだ?そこはどんなところだ?」


普段から擬音語が多いジョージらしく、わかりやすい説明を片腕の男に求めた。


レンバートはまだ完全にショックから立ち直れていない様子で呼吸をしていたが、数回息をして、記憶をたどるように話をした。


「ああ・・・わかった。
 俺たちが向かったのは、"死城"だ。パダから出発して、レックスに踏み込む。
 レックスに入ってから一日半ほど歩いたら、"死城"が見える。
 あたりは荒野だ。白っぽい乾いた土・・・草なんて生えてねえ。
 磁場はいつも荒野だ。その中に城が浮かんでいる。

 俺たちは数日かけて、荒野の中に"入り口"を見つけた。暫くまわりをうろついてたが、見つけた。大きな亀裂がある場所だ。
 それを飛び越えて、"中"に入る」


レンバートは空を見つめている。


「"中"に、精霊はいない。・・・違う、間違った。精霊は、いる。
 だが、そいつらは狂っている。使役できない」


一度うつむいて、また空を見る。


「こういう健全な場所から持ち込んだものからや、封じ込めた精霊でないといけない。あの磁場の土はイカレきってやがる。水も、木も、光さえもだ。

 ・・・と、広さは・・・。
 俺は3つ・・・・・・いや・・・・・・4つの"間"を知っている」


間、と口に出したレンバートは、自分の表現に苦笑するように顔を歪める。


「"中"は結構広い。迷路ではない。
 "入り口"をくぐり、最初の間を通り、さらに扉をくぐったその奥に、だだっ広い庭があった。そこの庭はぐるりとまわるだけでもかなりの時間を要した。
 庭には同じような扉が幾つかあった。さらに幾つかの間があるのだろう。
 俺たちはそこの扉の数枚しかくぐらなかった。
 ・・・・・・。
 ・・・。
 俺が"死城"を後にしたのは、"入り口を"くぐってから3日後だった。
 逃げるのは簡単にできているらしい。数十分とかからねえ。
 だが、攻めるには、かなりの時間を要した。
 俺たちは、"死城"の半分近くまで見に行けたと思う。
 あそこをあのまま全部見るには・・・最低でも1週間。大体10日分の食料が必要になると、踏んでいる」


そこまで喋ってレンバートは、用意されたエールに口をつけた。
木製のジョッキを、少しぎこちなさそうに煽っている。恐らく、失った左手が利き手だったのだろう。


「他に聞きたいことがあれば、今のうちになんでも聞いてくれ」


喉を潤した後、レンバートはそう言った。


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...GMより:

乗り込み時の事前情報として
 ・磁場に使える精霊はいない(持ち込んだ松明やコンスピで封じたものは使えます)
 ・城を全部回るなら、10日分ぐらいの食料が必要そう


>腕の結晶について

よく見たり調べたりすると、細かい魔晶石のこびりついたもののように見えます。
普通魔晶石は使用すると砕けますが、腕にあるものは"魔力を持ったままの魔晶石を砕いたらこんな感じだろうな~"という見た目です。
結晶からは若干の魔力を感じます。
もちろん、魔晶石として使うことはできません(笑)


他にも質問があればどうぞ!


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