城の壁
GM
[2012/12/31 07:25]
暗い。
あたりに光源はない。
鉱山妖精の視界だけが機能しているだろう。
音は、それぞれが動作で立てる金属音、または衣擦れ、吐息、足音だけだった。
その反響で、あまり広くない場所にいるということが分かる。
広くない――――狭い、という方が合うかもしれない。
「あ」
レンバートがダガーを抜いた。
これはレイフィアにライトの呪文をかけてもらっていたものだった。
そのダガーを高く掲げ、視界が確保された。
まず、7人は袋小路にいるということが分かる。
それは建物の中だということも知り得る。
壁は黒く、磨かれた大理石に似ており、三方にはファリスの間で見た"目"が浮きぼられている。
足元には円状の魔法陣。それは光ってはいないが、ここへ送られる時に青い光が形どったものと一致する。
どこか廊下の端。
地形からはそう捉えることができるが、目の前の直線通路脇にずらりと並ぶ石像が、この場所を重要な雰囲気にしている。
すぐ近く、5mほど前の両脇に石像がある。
それは奥に5m間隔で配置されており、まだ向こうにもあるようだ。
奥から、足音がする。
金属鎧が擦れる音と共に、それは通路内に響いた。
この響き方からいって、とても近くに居たのだろう。それがやっと動き出したように聞こえた。
「ガ ラフ・・・?」
レンバートが一行の方を見やる。
通路の向こうからやってきたのは、銀髪を後ろに撫で付けたドワーフだった。
「何用じゃ」
視認できる範囲で奥の石像の間に立った、ガラフの姿をしたものが口を開いた。
「お主ら、此処へは何用で参った。
少なくともわしには迷い子に見えるわい。
全く、"上"の番人は何をやっておるのか。まともに仕事もしとらんとみえる」
光明の魔法が届かないところは、どうなっているか想像もつかない。
黒い壁は光の反射を最低限にとどめてしまう。
「さあ、其処を動くのではないぞ。
さすれば平和的に見送ろう」
そういう口調は低く、言葉とは反対だった。
足元の魔法陣が反時計回りに動き出す。
「そうじゃ、じっと待つのじゃ」
魔法陣には可逆の機能が、時間を過程として設けられているらしい。
そこで動かず待てば、この黒い建物から出られるだろう。
この陣から出てしまえば、次にどうやってあの荒野の磁場へ戻れるかわからない。
魔法陣がぐるぐる回り出す。もはやただの円に見え、黒い床に白く浮き始めた。
それが立ち昇るように白く霞む。
もう一人のガラフも石像も見えなくなった時、黒い壁はもうなくなっていた。
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冬の太陽が天頂にある。
ダガーにかけられたライトの魔法も、頼らなくて済む。
黒い壁が去った後、一行の目の前にあるのは無限に広がっていそうな荒野と、そこに立つ一枚のモノリスだった。
小さな石畳。
"立ち入りを禁ず"
「ここは・・・」
レンバートが振り向く。
後ろには深い地割れがある。
「入り口か」
遠い磁場の上に風が吹いたようで、砂埃の上がる様子がみえる。
「どれが幻なんだ・・・?
あの乾いた土が舞うのも、作り物なのか・・・?」
死城の影は向こう側に見える。
距離的にいえば、輪になった林があった地点に見えるだろう。
だが、ゆらゆらと浮いている土台のはっきりしない影では、正確に場所を測れない。
幻の下に何かがある。
荷車と樽だ。
近寄って回収することができる。
改めて見直せば、マイリーの間に当たるだろう場所に縦横に広がる深い亀裂がある。
その他、車輪のあるだろう場所に大きな瓦礫が、林のあるだろう場所に、かろうじて足場のある間隔で深い亀裂が。
高低の差はあれど、実際の進入不可と、この"幻影"の進入不可は一致していることに気がつく。
「今夜はベッドで眠ろう」
依頼人がそう呟いた。
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オラン。
ミノタウロス亭からやってきた冒険者たちはようやく鎧を脱ぎ下ろすことができるだろう。
だが、シーフギルドに情報を察される前にしておかなくてはならないことがある。
魔術師ギルドへ情報を売るのだ。
レンバートは一向に付き添いを申し出る。
魔術に疎い男が一人で向かうより、レイフィアやプレナの随伴があった方が話も聞いてもらいやすいと踏んでのことだった。
聖石版は消滅する可能性があるので、プレナの書き写したものと共に買い取りたいという意向だった。
遺跡の情報については、ガラフの作成した地図にガメルを支払うという形を取る。
大体の目星と肩の荷が下りた数日後、ミノタウロス亭をレンバートが訪問した。
「あいつらの物、良ければ引き取ってもらいたい。
俺は冒険者をやめようと思う。この腕で何ができるかわからないが、田舎に帰って働くよ。
だから、俺が持っているよりあんたらが役立ててくれたほうが、あいつらも・・・最高に嬉しいと思う。
要らなければ売ってしまって構わない。いつか別の冒険者の手に収まって、一緒に旅してもらえるだろうから」
そして今日これから、早速学院に拘束される予定だという。
腕の晶石を削り取られたり、色々な魔法を試されるとのことで、依頼人は緊張した様子でジョージに差し出されたジンジャーティーを啜った。
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...GMより:
ラストシーンです。 お疲れ様でした!
そうです、原始の巨人の神殿です。
石像は、知識判定に成功すればオブシディアンドッグいうことがわかります。
ガラフの姿と口まねをしているのは、ダブラブルグですね!
こちらも判定に成功すればわかります。
数は、今のところPCたちには具体的な数はわかりませんが、8体はいます。
<リザルト>
+++ 経験点 +++
・依頼達成 1000点
・各エリアクリア 50点×5=250点
・神殿到達 500点
一人計 1750点 +1ゾロ分
+++ 登場モンスター +++
・ウィルオーウィスプ
・ヴァルキリー
・スフィンクス
・オブシディアンドッグ
・ダブラブルグ
+++ NPC回収報酬 +++
・ガレス=最高品質ラメラーアーマー(16/21)
・デイザルフ=鍛えの鞘(ブロードソード型)
・アーノルド=パリー・パリー
・ミデル=4点魔晶石1つ、3点魔晶石2つ、3回光晶石1つ、クマ顔に彫られたストーンサーバント用の触媒2つ
+++ 情報報酬 +++
・聖石版×5種(プレナの写し付き)=2500G
・レンバートの人体実験=1600G
・ガラフの地図(各エリアの詳細説明付き)=全部で2500G
情報報酬は全て現金で、全員での金額になります。
個々で割ると一人あたり1100ガメルですね。
NPC回収報酬は、買い取りもしくはお話し合いの上、お引き取りください。
あ、ストーンサーバントの触媒は石ころをコリコリ掘ったフレーバー品ですので、売値は0ガメルです。
これでストーンサーバントを呼び出しても、クマの顔にはなりません(なってもいい・・・です)
締めの記事を投下していただき、報酬の話し合いがまとまりましたら各自解放とさせて頂きます。
よろしくお願いします!
神殿がなんで隠されているのか、またファラリスの間はなんだったのか、本文では明確に言及していませんがホログラムデバイスの役割はなんだったのか、ネタばらし的なものを来年あたり、ボチボチと投下していきたいと思います。
では!良いお年を!!!