惨劇、それは地下水の顎門によって

オート・メララ [2013/06/03 20:44]
>「オート。扉が半壊している以上、そこから何かが出てくる可能性もあるんじゃないか?
>ここは慎重に行った方がいいと思うんだが。」
 

「む、確かに」


つい、上の階層と同じ気分で扉を調べようとしてしまった。
確かに、ココは今までとは違うようだ。雑な態度は命にかかわるかもしれない。


「すまん、逸った。
 私は後ろに付くよ」


結果論から言えば、扉も部屋も、異常は見つからなかった。
だがそれは幸運によるものでしかなく、
安全の確信もまた、シオンの調べがもたらしたものだった。


「もっと気を落ち着けないといかんな...集中集中」


内ポケットに隠してある聖印に振れ、一瞬だけ目を閉じ、心を引き締める。


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情報を求め、室内に侵入した我々であったが...


>研究室は、部屋全体が湿気に満ちていた。
>見れば天井から少しではあるがぽつぽつと水滴が落ちている。


「ああ、なんてことだ!」


思わず嘆きの声が出てしまう。
古代の貴重な記録の数々は、我々よりも先に遺跡へ侵入していた地下水によって
食い荒らされていた。室内に充満する湿気が、紙とインクを混然としてしまっていた。
がっかりである...ああ、がっかりである!


>「無事な物もあるかもしれない。調べてみるか。」


「はっ、それもそうだな。
 よし待ってろよ、今助けてやるからなー!」


だがいつまでもしょげ返ってはいられない。
シオンの言葉に正気を取り戻した私は、湿気を吸い込んで膨れ上がった紙とインクの塊を
そっと撫でては読もうと試みるのであった。
そのほとんどは、無駄な行為に終わってしまったのだが...

.
.
.


しかし諦めずに探したかいあって、文字が生き残った当時の記録が一冊だけ見つかった。
発掘する我々にとっても、古代の歴史を調査する上でも貴重な記録だ。


>「では...読んでみますね」


「ああ、頼むよヘリオン君」


読み終わったら私にも読ませてくれとは、さすがに続けられなかった。
ヘリオン君の後ろに立って、肩越しに内容を読みながらヘリオン君の語りを聞く。


.
.
.


「とりあえず、上の二部屋は開けずに正解だったようだな」


書物はこの遺跡がまだ研究施設として生きていた頃の、研究員が記した日誌であった。
やはり魔法生物の研究所であったというわけか。
だが色々ときな臭い内容もあって...


「宝物庫の番人というのが気になるな。
 研究成果である魔法生物に守らせず、わざわざ召喚を行うとは...
 ああ、召喚っていうのはな」


『召喚の魔術』について軽く解説しながら、宝物庫を守るのが何者なのかを考える。
魔獣の類というのも考えたが、あの辺は魔法生物とも技術的にかぶる部分が多い。
召喚するまでもなく、この研究施設で生産することも可能だったはずだ。
とすればやはり、あの鉄扉の向こうにいるのは...


「...という訳で、古代王国期には魔界の住人であるところの『魔神』が
 多数召喚されて様々な分野に役立てられた。もしかしたら、ここも...」


魔法に火の息、毒に幻術。
魔神の力は千差万別の何でもアリだ。
まだ宝物庫の番人が魔神と決まったわけではないにしろ、
もしそうなら...という想像を、私は禁じえなかった。


.
.
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>「まぁ、その魔方陣とやらが見つかったら、また調べてみればいいさ。
>地図が遺跡発見の鍵だったように、魔方陣に近づけないと解らないかもしれないしな」


「ううむ、それなんだが」

「もしかして、一階の最初の部屋が、
 その魔法陣の部屋なんじゃないか?」


完全な推測ではあるが『転移』の魔法の力はしばしば魔法陣の形で現代に残されており、
時にはより強大な移動の魔法である『異界への門』すら発見される事もあるという。

一階のあの部屋に魔法陣があれば...それを起動する鍵がこのペンダントであれば...
そして、起動した魔法陣が『宝物庫の番人』と関係するものなら...


>「さてどうする?精製室へいってみるか?」
 

「そうしよう。
 だが...」

「精製室が終わったら、一度戻って最初の部屋を調べてみないか?
 もしかしたら、そのペンダントに反応する何かがあるんじゃないかと思うんだ」

「...宝物庫の番人が気になるし、
 最後の扉を開く前に、調べられる場所は調べてみたい。
 精製室の後でいいから...どうだ?」


冒険者としても一介の古代愛好家としても、どうにも開けたい宝物庫だが。
そこに居るであろう守り人の脅威もまた、気になって仕方がない私であった。


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-PLスキュラ-

精製室いきましょーい!

例によって、シーフ行動はシオンの達成値が10未満の場合に行います。


* スキュラ@オートさんが入室しました。
20:40:11 スキュラ@オート 指定1 2d6 Dice:2D6[6,5]=11
20:40:17 スキュラ@オート 指定2 2d6 Dice:2D6[3,4]=7
20:40:21 スキュラ@オート 指定3 2d6 Dice:2D6[6,1]=7
20:40:30 スキュラ@オート 罠発見 2d6+3 Dice:2D6[5,4]+3=12
20:40:37 スキュラ@オート 罠解除 2d6+3 Dice:2D6[1,2]+3=6
20:40:47 スキュラ@オート 鍵開け 2d6+3 Dice:2D6[1,5]+3=9
20:40:53 スキュラ@オート 聞き耳 2d6+3 Dice:2D6[1,4]+3=8
* スキュラ@オートさんが退出しました。