お役所仕事
GM
[2013/06/21 13:01]
>「へぇ、魔術師がいるんですか。> イアンさんラッキーじゃないですか」
「ヘヘッ まあな。
冒険に行こうって言い出したのもアイツでさ。
ガキん頃、魔法使いに会って杖をもらったっていって、憧れちゃったらしくて。
いっつもガリガリ、ばかみたいに努力してら」
と、顔は笑っている。
>「うまく交換できたら、オレたちも遺跡に一枚噛ませて下さいね?」
「お、おう」
と視線を下げたのは、何か考えているからのようだ。
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係の青年は、名乗ったルーイに「お疲れさまです」と返した。
そして差し出された二枚の羊皮紙を、確認するように眺めている。
> フツーならタイミングが悪かったなーって諦めるんですけど、> 地図の提出者が同じ地図を買うって、おかしなことだと思いません?
「ふーむ・・・」
やや反応が乏しい。
> あ、もちろん実際にどうなのかは調べて下さって構いません。> 本当にイアンさんの提出したものと同じものなのか、最近のことだし記録があるでしょう。> 受け取った担当のひともいるでしょうし。> 調べるのに時間がいるなら、待ちますから」
ルーイの熱のこもった台詞に、羊皮紙を眺めていた青年は顔を上げた。
「提出者の記録は、ハイ、行なっております。
が、それは・・・明らかに事実と異なる報告だったと、別の報告で明らかとなった場合、に使用するものでありまして・・・。資料利用に関して、優位性を得られるもの、では、ないのです、が・・・、」
「が・・・。こちらの地図資料は、昨日受け取られた、んですよね?」
係りの者としても、強く言えないものがあるようだった。
一旦、地図をカウンターに置くと、別の羊皮紙を三人の前に滑らせる。何も書かれていない。
そして係の青年はペンをイアンの方に差し出し、
「お手数ですが再度こちらに、お名前とご出身と、ご年齢を書いていただけますか、」
と言った。
「お?」
イアンはペンを取り、出された紙にそれらを書く。
青年は書き上げられた紙とイアンの地図を持って「少々お待ちください」とカウンターを離れていった。
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しばらくして。
さっきの係の青年が戻ってきた。
「イアンさんご本人ですね。
ご署名の一致、・・・などで、確認が取れました。
提出されたのは47日前。この資料が更新されたのは、ちょうど昨日の日付でした。
それでは、今回はバッティングの不都合ということで、資料範囲を追加いたします」
「ん?なんか金かかる?」
「あ、いえ。そこは無料で」
イアンは、ルーイとアレルの方を向いて、ガッツポーズをした。
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そして。
かなり待たされてから再度受付カウンターに戻ると、新しく三枚目が追加された地図がイアンに渡された。よく見ると二枚目の地図にも追記があるようだった。
「いやー!言ってみるもんだなあ!
清々しいなあ!今日はいい天気だ!うん」
「・・・ところでさ。
ルーイくん、さっきなんか言ってたっしょ、なんかくれって。
それでさ・・・」
イアンは声を潜めた。
ここはまだ学院の敷地内。
「これ。この地図のコピー、俺作ってやるよ。
ハハハ何を隠そう最新だぞ。しかもタダ。どう?
この遺跡の地図はまだ未完成だったんだ。
んでちょっと見たところだと、まだ続きがあるようだな。
でも他人が一度入り込んだ遺跡って、なんか安心感あるんだ。
いざとなったらちゃんと逃げられるような、そんな安堵感。
俺みたいな趣味冒険者は命のほうが大事だから、退路取りながら少しづつこの地図を拡大していくんだよ。それが楽しいんだ。
っとスマン」
一方的に語り出したことに気が付き、話を戻した。
「もしそれで良かったら、どっか移動しようぜ。
ここじゃダメだな、さすがに」
イアンは顔を緩めた。
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GMより:
思ったよりスパっと進みました!
ちゃんと調べてよーと言ったのが効きました。
調べたところ、係の人も「すいませんそういうの出来ないんですよ...」といえないレベルのニアでした。
この成功のお礼としてイアンが、もらったばかりの地図を複製してやろうか?と言っています。
どうしましょうか!
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